Peace full info by 平和と民主主義をすすめる左京懇談会


街宣詩集

「しんぶん赤旗」によるコラージュ
2001・10−2002・7

2002年7月13日
穎展

胆沢広一

はじめに

 アメリカで起こったテロの約一ヶ月後の2001年10月8日(日本時間)、米国は、英国を伴って、アフガニスタンにたいする爆撃を開始した。私はこの翌日の10月9日以来、連日街頭から「テロも報復戦争もやめよ。日本は憲法9条を生かして平和のイニシアチブをとろう」と訴えてきた。

 これは平和と民主主義をすすめる左京懇談会の活動の一環としてであり、この街宣は7月で10ヶ月目に入っている。有事法制の国会上程の危機があらわになった2002年1月以降は、アメリカの好戦的な世界政策、それに追随する日本政府と有事法制に反対し、世界の反戦運動を伝えることにも意を用いてきた。この訴えに格好の素材を提供してくれたのが「しんぶん赤旗」である。2002年の穎展恒例の詩の朗読会のテーマが「アフガニスタン」と聞いたので、この間の街宣のためのメモ書きを詩の形にまとめてみた。あわせて総選挙や参院選挙時の詩も一部加えた。

春の街宣

序詩

昨日初めてウグイスを聞いた
「しんぶん赤旗」を配り終え
朝の湯船に
身を沈めているとき

まだ口元が固い
冷たい風の中の街宣のように
でもまもなくほころぶ それは確実だ
梅の開花とともに

春風が鳥たちのさえずりを豊かにするのか
鳥たちのさえずりが春風を呼ぶのか
しかし人間の場合ことは明白
人間の活動こそ歴史の春を開くのだ

自らの主体的な実践が
社会を前進させ
やがて季節の春とも一つになる
歴史の必然として

ハンドマイクの声
風にはためくのぼり
手にわたる一枚一枚のビラ
ウグイスのようにこころ弾んで

第一部 街宣詩集

二つの危険とわれわれの運動

(1)事件と世論

日本時間9月11日に
アメリカで大規模なテロ
4機の旅客機をハイジャック
100階以上のビルなどに突っ込む
ビルの崩壊などで5,000人以上の犠牲者
約一ヵ月後の10月8日未明
米英がアフガニスタンにミサイル攻撃

テロ直後 驚愕と憤激の勢いのまま
報復一本槍
その後次第に冷静に
テロ根絶のためには軍事報復でなく
国際協力で法による裁きをとの声と運動

軍事作戦の開始 アメリカの世論は
圧倒的にこれを
支持しているように見える

この間の日本のマスコミ
今か今かと戦争を待つ報道姿勢
反戦運動を紙面から排除
戦前と変わらぬ戦争煽動

(2)われわれの運動

5点の主張を明確に運動を展開
@テロはどんな理由でも
正当化できない犯罪
根絶しなければならない
Aテロにたいする軍事報復は
テロ根絶に役立たないし
むしろ逆効果。反対。
B国連中心に国際的団結で
犯罪を処罰すべき。
C自衛隊を軍事報復作戦に
参加させることは
明白な憲法違反。反対。
D戦争放棄、戦力不保持の憲法を生かし
 平和のイニシアチブをとること。

9月22日 テロ反対緊急集会
9月27日 テロ・報復戦争反対デモ
10月4日 テロ・報復戦争反対デモ
10月8日 いっせい地域宣伝
10月9日 きょう連続宣伝開始
10月21日 9・21に続く集会
10月23日 全国行動 円山集会

京都市左京区では4団体が共同
左京地区労働組合協議会
原水爆禁止左京協議会
日本共産党左京地区委員会
そしてわが
平和と民主主義をすすめる左京懇談会

われわれは訴える
テロ根絶
軍事報復反対
自衛隊参戦反対
憲法生かした平和のイニシアチブを―
このスローガンのもとに
個人、団体が
それぞれの運動展開を

(3)二つの危険

テロと軍事攻撃の際限のない繰り返し
泥沼化
アラブとイスラエルの抗争の
世界的規模への拡大
国連総会での討議と
今回の軍事攻撃にあらわれた亀裂
戦争に賛成か反対か
NATOを中心とする
欧米白人キリスト教国と
中東イスラム諸国を含む
途上国の分断

自衛隊の参戦
この世界的抗争に身を投げ入れること
平和憲法を踏みにじり
戦後日本の平和への誓いを
投げ捨てること
この根本に日米軍事同盟のくびき
これをなくさないと
日本は自由にならない

これにたいし非同盟・中立の
アジアの平和の流れが厳然と存在
事態の泥沼化とともに
この平和の流れの役割が高まる
この流れに平和憲法をかかげて参加
それが日本の役割
(10月9日)

国連総会10月1日―5日

マレーシアは発言する
武力行使による報復は
新たな報復を生むだけ
テロ問題の源泉 
パレスチナ問題の解決を
国際会議の開催を重ねて提唱
核兵器を用いたテロの危険を警告
核兵器の廃絶を

イランは発言する
テロは「力が正義」との
時代遅れの国際関係観に立つ
これと同じ発想で
テロにたいすべきではない

ベネズエラは発言する
暴力に暴力で対抗する報復を信じない

ペルーは発言する
テロは麻薬や狂信と結びついた
複雑な現象
テロは軍事的な手段では克服できない

ブラジルは発言する
強制措置は国連憲章と
国際法に導かれるべき

レソトは発言する
武力行使で犯罪者と
無実の民間人の区別があいまいになれば
テロリストと同じ

スウェーデンは発言する
民間人の犠牲を防ぐべき
各国の個別的・集団的自衛権の
行使を認める

アイルランドは発言する
軍事同盟非加盟だが、
このたたかいでは中立ではない

アイスランドは発言する
軍事的反撃は
必要になるかも知れないとしても
軍事報復を超えた包括的対策を

パキスタンは発言する
報復だけにとどまらず 
テロをもたらす
敵意と暴力の原因に対処すべき
(10月9日)

世界の反戦運動

<イタリア>

ペルージャからアッシジまで
25キロ25万人の声
アフガニスタン空爆停止
テロと戦争に反対
暴力は愚か者の最後の避難行
アフガン国民の殺害、爆撃もテロ
空と地球の非軍事化を
戦争には反対
どんな暴力も別の暴力をもたらすから
テロとのたたかいは困難
しかしアフガン空爆が
その目的達成に役立つとは考えない

<ドイツ>

全国主要都市でいっせいに集会、デモ
140団体・組織の共同
ベルリン3万人 
シュツットガルト3万人
ボン ケルン ミュンヘン
米英の軍事攻撃に反対
テロ根絶のため国連による解決の努力を
戦争は解決にならない
罪のない人々を殺す報復戦争反対

<イギリス>

英核軍縮運動が呼びかけ
宇宙戦争反対国際行動として計画
急遽「テロと戦争反対」が
メインスローガンに

ロンドン数万人
トラファルガー広場に4万人
グラスゴー数万人
アフガン爆撃は
英国が誇る民主主義と法の支配への暴挙
すべての人に平和と正義を
戦争でなく法の裁きを
暴力は暴力を生むだけ
爆撃でなく外交や政治の力こそ

<インド>

コルカタ(西ベンガル州)14日 7万人
左翼戦線が呼びかけ
(10月16日)

「参戦法案」強行

10月16日 自民・公明などが
「参戦法案」の委員会採決を強行
提出 10月5日
審議日数5日間
国民の意見を聞く公聴会もなし

日本を戦争に導く暴挙
自衛隊の参戦で
戦後初めて他国の人を殺傷する恐れ
憲法違反
国の行方を危うくするもの

米軍の軍事報復を無条件に支持し
自衛隊が参戦
「武力行使と一体化しない」は言葉だけ
審議もつくされずに
(10月17日)

アラブ世界の世論

ガルフ・トゥデー紙(ドバイ)
アフガニスタン問題に関する
イスラム諸国会議機構OIC使節団
イブラヒム・サイド団長
アフガニスタンの民間人の犠牲を
大きくしている米国の軍事攻撃は
今や目標が不明確
中止すべきである

アル・ビラット紙社説(サウジアラビア)
ジェノサイド(大量虐殺)となっている
武力行使を中止せよ

サウジ・ガセット紙
三週間にもわたる軍事行動で
米国は軍事的にも政治的にも
成果をあげておらず
この誤りを正せ

イスラム教スンニ派最高指導者
アフガニスタン全国民を罰することは
間違っている
これは報復的な反撃だ

日本についての見方
ガルフ・トゥデー紙
日本の軍隊、アメリカ軍に参加
通常考えられない速さで
自衛隊を戦場に送る法案を
通してしまった
(11月1日)

訴え一ヶ月

テロに対する軍事報復から約一ヶ月
われわれの訴えも一ヶ月
テロ問題の現状
今後の方向
日本のなすべきこと 
これらを大づかみにのべよう

アフガニスタンへの
米国などによる軍事攻撃に対しては
報復戦争中止、国連中心に解決を
日本政府の対応に対しては
自衛隊参戦反対 日本は
憲法を生かした平和のイニシアチブを
中東問題の解決の道は
テロも軍事侵攻も中止せよ
イスラエルは占領地域から撤退を
パレスチナ国家の樹立
パレスチナ・イスラエル両国の共存

アフガニスタンの状況
アフガニスタン国民の被害の増大
空爆の直接的犠牲
空爆による援助の中断
大量の餓死の危険
国連特別代表 11月1日
イスラマバードで記者会見
90万人が餓死の危険
アナン事務総長 11月1日
ジュネーブで記者会見
爆撃の早期終了
人道的業務再開を

米軍の軍事作戦そのものが
いきづまり 泥沼化
軍事力行使の目的がなし崩し的に変化
ビンラディン逮捕→タリバン政権つぶし
国際協調体制の作り方もご都合主義
一国中心主義 ご都合主義 
インドからパキスタンへのりかえ
チェチェン問題批判から
口出しせずへ

空爆中止求める各国首脳発言
マハティール首相(マレーシア) 1日
ムバラク大統領(エジプト) 1日
チャベス大統領(ベネズエラ) 29日
ヘレロワルトナー(オーストリア)とカミ
ロフ(ウズベキスタン)両外相会談 2日

日本政府の対応
憲法違反の自衛隊参戦法 武力行使
NATOの集団的自衛権と同じ内容
補給、米国施設の警備、艦艇派遣、情報
交換、関係国支援
アラブの見方
日本の軍隊、アメリカ軍に参加
日本への信頼感を失い
逆に反日感情高まる
NGO活動に困難も

あるべき方向
テロ根絶のたたかいを国連中心に
切り替える外交的イニシアチブ
アメリカの暴走に振り回されては
あとで高いツケ
難民支援に自衛隊は逆効果
国連と民間に協力を
中東平和への外交的努力を
非同盟、中立、平和の流れを強く
(11月5日)

エジプトの宗教指導者

イスラム教スンニ派 アルザフザフ師
テロに反対
罪のない人を殺すテロに反対
イスラム教は人殺しや
人に危害を加えることを許さず
テロのもとになるようなものは
何もない
米英の軍事攻撃
罪のない人々が殺されている
これも強く拒否
テロ問題の解決どころか
より複雑化・悪化
日本政府の攻撃支援
考え直すことを希望
テロをなくす道
テロのルーツとなっている問題解決を
パレスチナ問題
米国の不平等政策
イスラエルの国家テロに武器供与
パレスチナ国家創設に拒否権
国連主催の国際会議
国際法廷で問題とりあげ
措置を講ずる
メディア側に努力を求める
イスラム指導者の正確な声の紹介
宗教間の対話

コプト教教会(原始キリスト教の一派)
ムーサ司教
政治的目的達成に
民間人を犠牲にするテロ非難
ウサマ・ビンラディンは
感情を利用
宗教を支持する装い
どんな宗教も
平和や愛、共同のためにあり
世界の人々の幸せを願う
米英のアフガニスタン空爆
テロに対する正しい処方箋ではない
戦争という報復の精神では
問題解決にならない
目標もはっきりしていない
ビンラディンも簡単には見つからない
無数の難民
罪のない人々が殺されている
テロの根源に二つの問題
一つは貧困 世界の貧富の差
もう一つは不正義 米国の二重基準
これらが絶望、いらだち、不満を広げ
行き場を失った感情が
テロへつながる
テロとの本当のたたかいは
世界各国が集まり 地球上の
不正義をなくすことを考える
国際社会の共同の
戦略を練る
(11月5日)

政府と世論

アフガニスタンへの軍事攻撃から一ヶ月
事態はいよいよ泥沼化の状況
アメリカの態度
暴走が強まる
ブッシュ大統領 11月6日
反テロ連合のパートナーは
同情の表明以上のことを
しなければならない
連合のパートナーは
実行しなければならない
軍事その他の支援を
同盟国を含む世界各国に
強く求める

フランス(シラク大統領、11月6日)
2,000人が軍事作戦に参加

ドイツ(シュレーダー政権、11月6日)
3,900人を派遣と発表

イタリア(マルティノ国防相、11月7日)
2,700人を派遣

しかし反戦の世論強まる
フランス
軍事攻撃支持 66%→51% 大幅に減少
18歳〜24歳の青年層 54%が攻撃に反

ドイツ
テレビ世論調査(RTL) 
派兵反対 74% 
派兵賛成 26%
労働総同盟(DGB) 
戦争に疑問の声広がる
カッセル平和フォーラム
戦争の即時停止を要求
この戦争はテロリストを一掃するより
一般国民を苦しめ とりわけ
子どもを餓死に追いやっている
民主的社会主義党のスローガン
アフガンでの戦争をやめよ
ドイツの参戦反対
テロ問題の政治的解決
効果ある難民救助
すべての平和勢力、青年学生に
共同の闘争参加を呼びかけ
ドイツプロテスタント教会
ラマダン中の爆撃やめよ
与党社会民主党(SPD)でも
派兵・戦争推進の指導部に
反対する動きが活発に
平和諸団体は11月17日 
全国的反戦デモ

イタリア
レプブリカ紙世論調査
国民の70%が派兵反対
プロスポーツ選手や
サッカーチームが
平和アピールを発表 11月7日
トッティ
カンナバロ
バティストゥータ
コストナー(スキー)
パルマ
ASローマ

イギリス
ガーディアン紙 10月30日付
軍事攻撃支持 74%→62%
爆撃中止 54%
11月18日
数万人規模のデモ

ロシア
インタファクス通信 10月30日実施
軍事行動では
テロの脅威はなくならない 43%
(11月9日)

報復戦争―アラブの見方

リヤド・デーリー紙 11月13日
北部同盟指導者らの見解は
民族的、部族的、派閥的な思考に基づく
国家の概念がまだ不確実
国全体の連立政府を通じて
国を統治できるかどうか
誰にも確実にはわからない
旧ソ連を打ち破ったアフガン勢力が後に
同国を混乱と内部抗争に導いたことが
思い出されるべきだ
もし現在の戦争の主要目標が
タリバンとアルカイダの破壊だけに
限定されるなら
アフガンの問題は未解決のまま残り
テロ組織は成長を続け
戦争は何の積極的結果ももたらさない

アラブニューズ紙 11月14日
タリバンの撤退が予想外に早く
政治的空白が広がっている
北部同盟が権力を握り 1990年代初め

同じような暴力と政治抗争へ戻ることは
一層の内戦を意味する
法と秩序が維持されなければならない

エジプシャン・ガセット紙 11月5日
終わりが見えないアフガンの惨事
ブッシュ米大統領は
不倶戴天の敵タリバンに屈辱を
与えたことに満足している
しかし真の困難はこれから先にある
猛爆撃による破壊と
タリバンによる虐殺と
違いがあるのか
アフガンの惨劇は終わった
または少なくとも終わりに近づいたと
考えることは重大な過ちだろう
(11月22日)

自衛艦インド洋に

きのう11月25日 海上自衛隊の
自衛艦三隻が出動
インド洋に向かった
広島県呉から補給艦「とわだ」
神奈川県横須賀から掃海母艦「うらが」
長崎県佐世保から護衛艦「さわぎり」
テロ対策特別措置法によるもので
ディエゴガルシア島周辺で
兵站活動に入るのだ

すでに11月9日には
報復戦争参加法を待ちきれず
「情報収集」(防衛庁設置法)を口実に
補給艦「はまな」
護衛艦「くらま」
護衛艦「きりさめ」
700人が派遣されているのだ

テロ対策特別措置法(報復戦争参加法)は
わずか9日間の国会審議で採決
直ちに基本計画
実施要項
派遣命令と進められた
「戦場には行かない」
「武力行使はしない」
と国会答弁で小泉首相は言うが
活動の詳細は明らかにされていない
なし崩し的に自衛隊の活動を拡大し
なし崩し的に憲法をじゅうりん
もはや解釈改憲は極限だ
(11月26日)

米国内の平和運動

オークランドの湖畔で毎週平和行進
11月25日でもう10週目
40人は参加する
「平和のために組織された
メリット湖周辺住民」
すなわちLMNOP
インターネットの
反戦行動カレンダーをチェックして

米国はアフガニスタン以外も
攻撃する可能性が出てきた
居ても立ってもいられないと

戦争は答えではない
報復ではなく
法による裁きを
深い悲しみは
戦争を求めない
(11月27日)

ヘイトクライム

米国内で増えるヘイトクライム 
すなわち人種差別に由来する憎悪犯罪
人権擁護団体の試算で1,000件を超える
圧倒的多数が女性に対するものだ

「反テロ」を口実に
市民的自由を規制する「米愛国法」を
報道機関はほとんど報道しない
逆にイスラム教徒への偏見を
植えつけるのに躍起だ いわく
「イスラム教徒を収容所に入れるべき」
いわく 「イスラム教徒に
身分証明書を携帯させるべき」

テロ捜査理由の人権侵害も
たとえばFBIは200大学の
中東出身者の思想調査を行った

こうして
「警察国家には住みたくない」と
米国を去る人もいるのだ
(11月27日)

飛び火・拡大
12月1日深夜 エルサレムの繁華街
ベンエフダ通りと周辺で
自爆テロ2回 
自動車爆弾テロ1回
自爆犯2人を含む12人が死亡
180人以上が負傷

12月2日昼ごろ ハイファで
路線バスが爆発
乗客ら14人が死亡
40人以上が負傷

イスラエル放送によると
パレスチナのイスラム原理主義組織
ハマスの軍事部門カッサム部隊が
実行を認めたという

イスラエルの軍事報復が予想され
パレスチナは自治区全域に
非常事態宣言を出した

昨年9月以来衝突の死者は1,000人以上
パレスチナ人 800人以上
イスラエル人 230人近く

これに対し エジプトの
ムバラク大統領は2日
中東通信に語った
「無実の人々を標的にした
暴力の応酬を非難する」
「パレスチナの情勢沈静化へ
国際的努力が払われているとき
こうした事件は残念だ」

わたしが懸念していたことは
まさにこのこと
テロに対する軍事報復
暴力の連鎖とその拡大

テロ反対で世界は一致していた
この一致を大事にして
テロ根絶の努力を行うべきだった
これを破ったのが米英のアフガン空爆
軍事同盟にしばられ
NATO諸国は軍隊を派遣
国際世論に亀裂が生じた
「戦争」をめぐって

アフガニスタン国内では
戦闘による相互の殺戮が始まり
一般国民の犠牲は広がる
爆弾によるもの
人道援助中断によるもの
なんと750万人もの飢餓の危険もある
政治的には無政府状態
新たなテロの土壌がまた広がる

アメリカは暴走し
対テロ報復戦争拡大の姿勢
イラクに
ソマリアに
ガーディアン紙が鋭く論評
「米国は同盟国の支援があろうと
なかろうと たたかいに
突き進んでいる」
「単純で視野を欠いたやり方は
ビンラディン以上の挑戦で
警戒しなければならぬ」
「国際法も他国の懸念も省みない
究極の米国至上主義」

イギリス労働党のトニー・ベン氏も警告
「世界を米国の敵か味方かに二分する
外交を始めたことは重大」
「同調しない国はすべて
ならずもの国家にする米国の覇権主義で
民主主義が危機に瀕している」

ブレア首相とシラク大統領は11月30日
ロンドンで会談
「明白な証拠がない限り 戦争を
イラクに拡大すべきでない」と
米国を牽制

そしてわが日本では
小泉内閣も
民主党も
アメリカの戦争に無批判に追随している
(12月3日)

2001年の終わりに

9月の米国におけるテロ以来3ヶ月余
米軍等によるアフガン空爆以来2ヶ月余
パレスチナとイスラエルとの
テロと軍事報復以来約3週間
自衛隊の参戦以来約3週間

テロと軍事報復の悪循環が拡大している
軍事報復を主導する米国の
単独行動主義が際立つている
日本では憲法蹂躪の自衛隊参戦強行
憲法体制の危機が進行
一方 テロにも戦争にも反対する運動が
世界でも
日本でも

アフガニスタンではどうか
タリバンとアルカイダが崩壊
新しい政権準備 しかし
オマール師もビンラディンも
所在は不明
大量の爆弾投下で国土は荒廃
文明の十字路の遺産も破壊
住民の犠牲は空爆によるもの
人道支援の中断による飢餓
難民
問題の解決は見えず

そしてアメリカは言明
「テロとの戦争を地球的規模に」
(ウルフォウィッツ国防副長官18日)
米国至上主義
単独行動主義
超タカ派路線が露に
国際協調と
自由と民主主義を破壊し
世界に君臨

米国にならうイスラエル
イスラエルを支持する米国
パレスチナに対する武力行使を
ほしいままに
大小の単独行動主義
軍事報復路線が
テロの土壌を一層広げる危険

日本ではどうか
自衛隊の参戦 米国のタカ派にほめられ
米国の軍事上の必要のままに
地球上のどこにも派遣できる条件つくる
解釈改憲が極限に達し
明文改憲の衝動強まる
憲法調査推進議員連盟が
「憲法改正国民投票法案」を準備
民主党が憲法改正中間報告

しかし
テロと軍事報復の悪循環に反対し
憲法改悪に反対し
憲法再生をはかる運動も強まる
(12月20日)

新年の訴え

テロ、報復戦争、自衛隊の参戦
この機に乗じて
有事法制、憲法改悪の衝動強まる

われわれの運動は
3回の集会
3回のデモ
2ヶ月以上にわたる連日のアピール
1月26日には有事法制討論会

内閣官房が自民党に示した
おそるべき内容の
「有事法制の整備について」

従来の有事法制研究は
「日本への武力攻撃が
発生した場合」が建前
今回は「(日本への)武力攻撃に
至らない段階から適切な措置」
口実はテロや不審船
われわれは「有事(戦時)」としてきたが
「戦時」でなくても
政府の判断一つで
国民の自由と人権を制限へ道
これこそファシズムへの道
有事法制は「日米安保体制の
信頼性を一層強化」するため
アメリカがアジアで起こした戦争への
参加・協力を想定
アメリカの戦争へ国民を総動員する体制

1月21日 衆院議員会館に150人
「有事法制と憲法改悪反対の一致点で
大きな運動をつくろう」と
1月25日 衆院議員会館で
「有事法制は危ない! 市民と議員の
緊急集会」
(1月23日)

憲法をめぐる最近の状況

国会の憲法調査会が3年目に入る
小泉内閣は改憲の方向性をはっきりもつ
政党状況では民主党・自由党が改憲方針
超党派の憲法調査推進議員連盟が
憲法改正国民投票法案要綱を準備
これは明文改憲に向け
手続き上の障害を取り除くもの
アメリカが圧力 すなわち
集団的自衛権を認めよ
有事法制をつくれ
テロ対策特別措置法―
自衛隊による戦時の米軍支援の枠組み
自衛艦の参戦
有事法制―
米軍支援に国民まで動員する体制
国連PKO法改悪―
自衛隊参加
武器使用条件の緩和
(1月30日)

「しんぶん赤旗」賛

「しんぶん赤旗」は政党機関紙
日本共産党の新聞だ
われわれの街宣の頼りは
「しんぶん赤旗」日刊紙
なぜか?

それは世界と日本の根本問題に対する
報道姿勢が信頼に足るものだから
第一 テロと米国の報復戦争
報復戦争をする側か
批判する側か
この立場が問われる

アフガニスタン空爆開始時点で
日本の新聞の社説と論説61本
なんとすべてが空爆支持
軍事行動の正当性を主張
(日本新聞協会調査)
唯一「しんぶん赤旗」だけが
米国の空爆と軍事行動を批判

第二 空爆を報道する目が問われる
空爆支持の目か
空爆反対の目か
戦況報道か
戦場報道か
ミサイルが標的に向かうシーンか
地上で見た戦場の姿か
軍事評論家の科学技術的解説か
地上の人々のもがき、苦しみ、死か

クラスター爆弾や気化爆弾をどう見るか
「威力ある高性能爆弾」と
科学技術的に見るか
人間にとって許しがたい
残虐兵器と見るか

世界の反戦デモ
黙殺するか
重視するか
(2月4日)

二つのフォーラム

世界経済フォーラム年次総会が
ニューヨークで開催
世界各地から2,500人の政財界人
期間中にNGOによるデモも
「地球の友」C・フリーマン氏は語る
「グローバル化推進議論の場
経済的不平等を地球規模に広げ
環境を地球規模に悪化させる」

世界社会フォーラムが
ポルトアレグレ(ブラジル)で開催
1・31-2・5 北と時期を合わせて
131カ国51,000人が集まる
「別の世界は可能だ」
これが中心スローガン
新たにくわわったのが
「正義と平和のともなう
別の世界は可能だ」
31日のデモには次のスローガンも
「たたかいも希望も
地球規模に広げよう」
「テロ反対
対テロ戦争反対」
フレイ・ベト神父は呼びかける
「正義に満ちた平和な世界の実現を」
ブラジルの神父はさらに語る
「テロは恥ずべき行為 だが平和は
正義を土台としてつくられることも事実
軍事力で平和はつくれない
ここに集まった人々は
軍事力と経済力にものをいわせた
米国や先進国による植民地化に異議
テロや経済の地球規模化に
意見はいろいろ
まとまるのは容易ではない しかし
他者の意見を尊重する複数主義を土台に
一致点を見出し
団結することが何よりも重要
新しい世界秩序をつくるために
これは新しい民主主義実践への挑戦」
(2月5日)

第二部 配達詩集

大学の門前で

ビラを受け取らないのが
君たちの主義か?
あるいはママに言われているのか

無口 無表情 あいさつも返さない
ぼくのあいさつは
余計なお世話かもしれない

それにしても 君たちの横顔は
積極的な拒絶の意思というより
心閉じた哀れむべき無関心だ

ビラは汚いものか?
デマか? 一方的宣伝か?
これこそカルトの作り出した
嫌気というものだろう

だが仮にも学生というなら
比較秤量を
日常の習慣としなければならないはず
まずビラを手にとるべきではないか

君たちの訳知り顔が腹立たしい
確かにぼくの怒りは間違いだ 
見当違いだ
しかし君たちを軽蔑したくなる気持ちを
抑えられない

世論づくりの詩

「しんぶん赤旗」配達の早暁
セミの一声を聞いた
まだ日の出前なのに

しばらく行って
また他の一声
耳を澄ませるが今朝はこれだけ

そうだ これがたたかいというもの
やがて瀑布のようになる
その最初の一声、二声だ

選挙の翌日

早朝配達三時間
午前四時に起き
午前七時に終わった
今朝は団地の代理配達が加わったのだ

シャワーを浴びて
朝食をとる
ラジオスペイン語講座を練習して
朝寝三十分

行きつけのコーヒー店に出かける
各紙に目を通し
参院選の論評について
メモをとる

そして長い執着のあとの区切りに
山の寺に登り
木陰に座して
午前を過ごす

風に吹かれて
心身を解放する
脚に蟻を自由に遊ばせ
膝に吹く風を楽しむ

(まるでお釈迦さん気取りだね
そういえば
本堂の前には
菩提樹もあるね)

選挙の後

アブラゼミに
カナカナの声が混じる
山のふもとの
「しんぶん赤旗」配達区

ツクツクボーシはまだ聞こえない
ツクツクボーシが鳴いたら
また新しい秋へ
新しい意欲が湧くだろう

秋の空

セミの声は
樹から降り注ぐ
あるいは空に満つ、という

では虫の声は?
草から湧き上がる
あるいは地に満つ、か

そして ある日突然
声たちは
天から足下へ所を変えていた

しかしただ一つ 秋空に
ミンミンゼミが鳴いている
棒高跳びの棒のようにしなやかに

Eメール

きょう会ったのに
メールが来ないと
胸ふさがる思い

メールは真実
内心の声
無言で行き交う

会ったときも
メールのことは
口に出してはいけない

二人だけのときでも
互いに
伏せておくべきもの

二人をつなぐ
確かな微風
明るい通路

メールが来ないと
胸ふさがる思い
きょう会ったのに

比良山

(1)

みんなの中にいて
みんなと水平線を見ていた
琵琶湖は無限だった

ヨットで横断の冒険
マストより高い波に
琵琶湖は海だった

ぬるい面に浮かんでいても
膝にさわる冷たい水塊
琵琶湖は底知れなかった

(2)

その琵琶湖が今
目の下にある
まるでジグソーパズルの一片の厚紙

形は自在だが
明確な輪郭
完全な限定

大地にぴったり
はめ込まれている
夏の日に青く輝きながらも

(3)

中学一年の夏 地歴部で比良を目指した
しかし下痢でぼくは脱落
下の山小屋で独り寝ていた

それ以来半世紀
さまざまな山域を歩いてきたが
なぜか比良にはついぞ足が向かなかった

今その比良の武奈ガ岳の山頂に立ち
初めて自己の青春のカタチを計っている
これからのたたかいを展望しながら

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